私が菜食になった理由 その⑩


病院は、希望を与えてくれるところではない。
むしろ、不安にさせてくれるところである。


「気胸は再発する人も多いから…」

「原因ははっきりしていない。いつまた起こるかわからないし、防ぎようがないからね」

「今後は飛行機はあまり乗らないほうがいい。気圧の関係で、肺が破れることもあるから…」

「水中にもぐるのも、これからはあまりやめたほうがいいね」



医者が私に言った言葉である。
気胸で病院に運ばれ、入院して10日目。
治療は順調に進み、体も回復しつつあった。

しかし、先の医者の言葉が耳に残った。
自分の体にはじめて不安をいだいた。

気胸は再発を起こしやすい?
いつ起こるかわからない?
原因不明?
防ぎようがない?
飛行機に乗るな?


体の悩みを抱えることの不安。
これをはじめて知った。

入院生活は地獄だった。
肺を膨らませる大きな機械を付けているので、ベッドに寝たきりの生活。

風呂はもちろん、トイレにも行けない。
ずっと寝たきり。
寝返りもうてず、ずっと同じ体勢のまま。
何も出来ない。
こんなに辛いことはない。


再発なんて二度とごめんだった。
けれど、医者は防ぎようがないという。

これからずっとビクビクしながら生活しなきゃならないのか。


そんなとき、ある人がお見舞いに訪れたのでした。
私にとっての最初の先生になる人。(私が勝手に先生にしてしまっています^^むこうはなんとも思ってないかも…)

「大変だったね。でもすっかり元気になったようだね。すぐ退院して、仕事に復帰して、少し体を動かすことだよ」


すぐ仕事しろ、体を動かせって、今言ったよな。
普通なら、少しゆっくりしなさい、無理しない方がいいとか言うよね。
聞き間違いたか?内心そう思った。


「医者は、原因不明で再発の可能性もあるというのですが…」

「体質を変えることだよ。肺が破れない、しっかりとした体質を作れば、再発はないし、なんの心配も要らないよ。飛行機だって大丈夫。」


体質を変えるって簡単に言うけど、朝から晩まで働いて、疲れが溜まったから、こうなったんじゃないの?
それをまたすぐ働けって、どういうつもりなんだろう?
これが本音だった。


「ところで、唐津君は肉が好きだね。野菜がぜんぜん足らないよ。だからそんな顔色してるんだよ!まずは野菜を摂ることからだね。」

肉が好き。野菜が足らない。
本当にそうだった。というか、肉しか食べてなかった。

どうしてわかったんだろう?
顔色?
それだけでわかるものなのか?
とにかく不思議なことばかり言う人だ。


「参考になると思うから、この本を読んでごらん」


帰り際にそう言って、先生は一冊の本を置いていったのでした。

先生が置いていった本。
これが、私の人生を劇的に変える一冊となることを、その時私はまだ知らなかった。
つづく。

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by ietaka-karatsu | 2006-05-22 00:18 | 真実が隠れた!?物語


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